最近よく耳にする菌の名称の一つに、「ピロリ菌」があります。数十年前まではほとんどの人が知らなかったと思われるこの菌の存在を、今では多くの人が認知しているのも不思議な話です。しかし彼らがピロリ菌の存在を知ることになった経緯を踏まえると、それも首肯できます。というのも、彼らは医療機関の胃腸科で受診すると、医師から「ピロリ菌は胃がんの原因である」と何度も教え込まれていたからです。ピロリ菌自体に関心を寄せない人であっても、胃がんの原因だと知れば、真面目に勉強しようとします。勉強すればするほどピロリ菌の怖さを学ぶことになり、同時に病院で同菌を除菌できることも知り得ます。その結果、一刻も早く除菌しようと思い立ち、こぞって病院を訪れるようになるのです。
 胃の不調が明らかに認められる人は、先ず胃の検査を実施します。その上で、ピロリ菌の存在を疑わせるものがあれば、続けて菌の有無を調べる検査を行います。そこでピロリ菌の存在が確認されれば、いよいよ除菌を実施します。除菌をしない選択もあり得ますが、医師が伝えるのは、ピロリ菌が胃潰瘍や慢性胃炎、十二指腸潰瘍の原因となっている事実であり、多くの人は除菌を選択することになります。除菌しなければピロリ菌が胃を荒らし続けてしまい、最終的には胃がんを惹き起こしてしまうからです。因みに除菌には保険が適用されるため、費用の面が問題となることはありません。
 確かにピロリ菌の恐ろしさを知ると、除菌したくなるのも頷けます。しかし除菌が胃がんの予防に効果的だとする見解に関しては、疑いの余地があります。日本では毎年3万人の男性が胃がんで亡くなっています。女性も1万8000人が亡くなっています。しかしこの傾向はピロリ菌が除菌され始めてからも変化しておらず、除菌の有効性が全くもって疑わしいのです。しかも除菌するために服用する抗生物質は大変強いもので、数週間かけて飲み続けなければなりません。ピロリ菌に耐性ができて除菌に失敗してしまえば、再び別の抗生物質を服用し続けることになります。この服用期間で抗生物質が身体にどのような副作用をもたらすのかは不明です。

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